SEの仕事

【現役SE解説】失敗しない就職先の選び方!知っておくべきIT業界のビジネスモデルを解説!

【解説】IT業界のビジネスモデル
今回のお題

SEが関わるIT業界のビジネスモデルを正しく理解しよう!

こんな人に読んでほしい!
  • IT業界に興味がある方!
  • 就職、転職活動をしている方!
  • SE(システムエンジニア)を目指す方!
  • SEのビジネスモデルを知りたい方!

IT業界で代表的な職業であるSEですが、SEと一言で言っても業務内容は千者万別です。同じSEでも、こんなにも仕事内容が違うのかと、驚くことは誰しもが経験するのではないでしょうか。

それがゆえに、「思ってた仕事と違う!」と就職後にギャップを感じることも非常に多い職業でもあります。

SEにも様々なビジネスモデルがあるため、違いを正しく理解して会社を選ぶ必要があります。

このページを見ると、SEが関わるIT業界のビジネスモデルの違いを理解することが出来ます。自身がどんな会社に入りたいのか、再確認して就職先を選ぶ際の参考にしてください!

SEに就職や転職を考えている方や、IT業界の仕事に興味を持っている方には特におすすめの内容となっています!

SEのビジネスモデル

SEの仕事は、システムを開発することですが、どんなシステムを作るのか、誰のためのシステムなのか。については、所属する会社のビジネスモデルによって決まります。

また、作るシステムの違いだけでなく、職場環境や役割にも影響するので、しっかりと違いを理解しておきましょう。

今回は大分類として4つのビジネスモデルを紹介します。この4つのモデルを理解すると、大体のビジネスがイメージできるようになると思います。

  • 受託開発型SE(SIer)
  • 客先常駐型SE(SES)
  • 自社製品開発型SE
  • 社内SE

受託開発型SE(SIer)

  • 他社から依頼されたシステムを開発するビジネスモデル
  • 国家案件や社会レベルの大規模な開発に多い
  • 会社の立ち位置によって業務内容や待遇が変わることが多いビジネスモデル
  • 会社の立ち位置はピラミッド構造で表現されることが多い
  • 入社後にギャップを感じる可能性が最も高いビジネスモデル

自社でシステム開発することが難しい企業は、システム開発を得意とする企業に開発をお願いすることでITを導入することになります。

そのシステム開発の仕事を受けているのがSIer(システムインテグレーター)と呼ばれるIT企業です。

このビジネスモデルは建設業と似た構造になっており、ITゼネコンと呼ばれる大企業が窓口会社(元請け会社)となり、必要技術を持っている会社へ再委託をして仕事を分配していきます。

一般的に、プロジェクトの規模が大きくなるほど、分配する量も多くなるため、足りない人員を補うために再委託が繰り返され、2次請け、3次請けとして仕事をする会社が発生します。

こうしてピラミッド構造のビジネスモデルが誕生し、どの立ち位置の会社で働くかによって業務内容や待遇が変わってしまいます。

まずは図でイメージを確認しましょう。詳細は次項で解説します。

IT業界のピラミッド構造IT業界のピラミッド構造

就職先として考えている会社が、どの立ち位置なのか、しっかりと理解しておくことが大切です。

この構造を知らないまま入社し、ギャップを感じてすぐに退職してしまう人を何人も見てきています。

会社の立ち位置による違いについて

立ち位置による具体的な違いについて解説します。

業務内容の違い

  • 元請けに近い程、マネジメント寄りの業務になってくる!
  • 下請けになる程、技術寄りの業務になってくる!

同じプロジェクトに従事していても会社の立ち位置によって業務内容も変わってきます。

業務を分配(委託)することで、委託元の会社には委託先を管理・監視する義務が発生します。そのため、必然的に元請けに近いほど管理(マネジメント)業務の割合が高まります。

逆に、下請けの立場になるほど、プログラミングなどの技術的な業務の割合が増えると言えます。

もちろん、未経験からいきなりマネジメントが出来る訳でもないので、自分が将来的にどうなりたいかで考えると良いと思います。

エンジニアとして技術を極めたいのか、プロジェクト管理やお客さまとの交渉などのマネジメント業務を極めたいのか、想像してみましょう。

待遇や環境の違い

  • 元請けに近い程、大企業の場合が多く待遇が安定していることが多い
  • 下請け会社でも、技術を売りにして高単価の契約を勝ち取ることで高年収を実現することも可能
  • プロジェクト拠点は元請け会社の拠点となることが多い

同じプロジェクトに従事していても、会社が違う訳ですから当然、給与や職場環境にも違いが生まれます。

上の図で示した通り、元請けに近い程、大企業になることが多いので給与などの待遇が安定していること場合が多いです。

しかし、下請けだからと言って、給与が低いと決まっている訳ではありません。技術に特化しているエンジニアの需要は絶えませんし、どの企業もプロジェクトに入れたい人材です。

トレンド技術や、高難易度の技術を習得することで、契約単価を引き上げることが可能です。まさに、自分の実力で契約金を勝ち取るという構造で、実力が給与に反映されやすいとも言えます。

職場環境の違いについてですが、複数の企業が集まって仕事をする訳ですが、それぞれ自分の会社で業務することは、効率も悪く、セキュリティ上もよろしくないです。

一般的に元請け会社が大きな拠点を持っていますし、委託先の管理という面でも、元請け会社の拠点をプロジェクト拠点にすることが多いです。そのため、下請け会社は元請け会社の拠点に出社することになります。

近年はリモートワークを基本とすることもあるので、以前よりは意識しなくて良いことも増えてますが、セキュリティ上の理由でリモートワークが出来ないこともあるので、その点は理解しておきましょう。

違いを理解することの大切さ

最初はどんな仕事か分からないですし、途中でやりたい仕事が変わることも当然あります。

エンジニアとして下請け企業で下積みをして大企業へ転職することも可能ですし、大企業の中でもエンジニアは必要なので、企業内でジョブチェンジすることも可能です。

ここでお伝えしたいのは、入社後にギャップを感じて辛い思いをしないよう、しっかりと理解し納得して入社を決めて欲しいということです。

客先常駐型SE(SES)

  • 客先に常駐してシステムエンジニアリング業務を行う
  • 普段は常駐先で働くので、派遣のようなイメージ
  • 働く環境は常駐先の企業に依存することになる
  • 会社は変えたくないけど、色んな環境で働いてみたい人には向いているかも

客先に常駐(所属)してシステム関連のお仕事を実施するビジネスモデルをSES(ソフトウェア・エンジニアリング・サービス)と呼んだりします。

客先に常駐する理由は色々ありますが、例えば客先のIT部門の社員が足りず、中から直接IT支援して欲しい場合にSESという形で契約することがあります。

また、前段で解説した受注開発型の中で再委託の契約形態をSESとして発注することも多いです。

お客様によっては、再委託を認めない場合もあります。しかし、それでは人員を確保出来い。このような場合にSES契約として2次請け企業と契約し、元請け企業の立場で業務を出来るようにします。

自分の会社ではなく、契約先に常駐して働くことになるので、プロジェクトが変わると職場も変わることが多いです。社外で働くことになるので、色んな環境で仕事をしてみたい人や、社外の人との交流が好きな方には良い働き方かもしれません。

逆に自分の会社では無い分、居心地が悪く感じることもあるので、自身の希望や性格に合わなそうな方は避けた方が良いかもしれません。(自社内でも配属先によって全然雰囲気が違うことは、あるあるなので、結局どの会社でも配属ガチャの要素は残ります。)

自社製品開発型SE

  • 自社で開発した製品を社外に売り出すビジネスモデル
  • 他社開発は開発する行為に利益が出るのに対して、自社開発における開発は投資となる
  • 会社や製品の規模によってビジネスの規模も変わってくる

自身の会社が販売する製品(クラウドサービスやアプリなど)を開発・運用する形のビジネスモデルです。(以下、自社開発と言います)

これまでの受託開発型SE(SIer)や客先常駐型SE(SES)は、反対に他社開発とも言えます。

他社開発は要望を受けた会社に対して行うビジネスですが(BtoB)、自社製品開発は不特定多数のユーザーを想定したビジネス(BtoBだけでなく、BtoCも範囲)となるイメージです。

エンジニアとしては、働く環境が自社内になるだけで、業務内容は他社開発とさほど変わらないでしょう。

一番の違いは会社としてのお金の稼ぎ方です。

他社開発では開発する行為に対して利益が発生します。言い換えると、最終的に作ったものがあまり売れなかったり、使われなかったとしても、開発した時点で利益を得ることが出来るのです。

対して、自社開発の場合は、まず開発する行為が投資という形になります。そのため、開発するだけでは当然利益は生まれません。開発後に得られる利益が投資費用よりも多くなければ、それは赤字ということになります。

他社開発と自社開発の収支イメージを表すと以下の通りです。

他社開発の収支他社開発の収支
自社開発の収支自社開発の収支

他社開発では、開発・運用の行為そのものが利益となるので、開発開始から利益が発生します。製造や試験工程に1番人的コストがかかるので、一般的には図のように開発が一番盛り上がるところで多くの利益が生まれます。

※ 他社開発が必ず黒字になるという訳ではありません。

例)請負開発(最初に予算を決めて開発着手)で、想定以上のコストがかかってしまうと赤字となってしまいます。

自社開発では、開発行為が投資になるので、開発開始時点ではマイナス収支となります。そこから開発した製品を売り出し利益を出すことで最終的に黒字化を目指します。そのため、会社や開発する製品によって、プロジェクトの規模も変わってきます。(どのくらいの人数で開発するか。)

ゲームを開発して売るような形をイメージすると分かりやすいかもしれません。

初期開発後もバグ改修やシステムアップデート、お客様からの問い合わせ対応も発生するので、投資(運用コスト)は続くことになりますが、運用コストを抑えつつ利益を拡大させることが理想的な形と言えるでしょう。

自社開発は、自分の会社で製品を販売して売れることに、やりがいを感じる人にはマッチしているビジネスモデルと言えるでしょう。

逆に、国家案件や社会レベルの大規模な開発に携わることに、やりがいを感じる人には他社開発の方がマッチする可能性があります。

社内SE

  • 自分の会社内でIT推進を行う仕事
  • IT導入の提案、システム開発、導入済みシステムの運用業務など
  • 自社勤務なので、良くも悪くも職場環境は安定傾向

こちらも自社製品開発型SEと同様、「自社開発」か「他社開発」かで言うと自社開発になります。

「自社製品開発型SE」との違いは、誰のためのシステムを扱うかです。(誰がお客様になるかの違い)

前述の「自社製品開発型SE」は自社で作った製品を外部の人に購入してもらったり、利用してもらうことで、利益を得ることが目的です。従って、お客様は社外の方になります。

対する社内SEは自社のためのIT推進が目的のため、お客様は自分の会社になります。

具体的な業務としては、業務改善を目的としたシステム導入の検討や開発、社内利用しているシステムの保守運用、自社内の問い合わせ対応などです。

「受託開発型SE(SIer)」や「客先常駐型SE(SES)」のように、社外拠点で働くことは基本的に無いので、職場環境は安定的と言えます。

開発は外部に委託するパターンもあるため、導入検討や各組織との調整、保守運用などの業務が中心になることも考えられます。

絶対にシステム開発の仕事がやりたい!という方は、よく企業研究して業務内容をしっかりと確認しましょう。

まとめ

今回はIT業界のビジネスモデルの違いについて、解説しました。

同じSEという職業でも、ビジネスモデルによって業務内容や環境に違いがあることを理解いただけたでしょうか?

今回お伝えしたかった内容をまとめます。

  • 同じSEという職業でも、ビジネスモデルによって業務内容や環境が変わる!
  • ビジネスモデルは大きく分けて4つ!(「受託開発型SE 」、「客先常駐型SE」、「自社製品開発型SE」、「社内SE」)
  • 更にお客様の違いによって「自社開発」と「他社開発」に2分化される!
  • どんな環境でどんな仕事をしたいか、ビジネスモデルを意識して、しっかりと企業研究しましょう!

そもそもSEってどんな仕事か、については別のページで解説していますので、SEに興味のある方や、他のIT職種との違いについて知りたい方は、ぜひこちらもご覧ください。

【現役SE解説】SE(システムエンジニア)の仕事内容を具体例を挙げて解説!